− ラッシュ王と会う − |
「皆、準備はいいか?」
ソラが立ち上がって言った。
「今からラッシュ王達を助けに行く。目立たないようにするんだぞ。ジョンが案内してくれる。」
オモテが立ち上がって言った。
「皆で助け合えば上手く行くはずだ。さあ行こう。」
ジュウとラグも立ち上がった。
「僕達でも出来ると信じよう。」
5人は堅く手を握った
「さあ案内するからついておいで。」
ジョンが案内してくれた。その場所は、木々に囲まれた古ぼけた小屋に向かう。そう遠くはなかった。沢山の林を行くと急に開けた所に、古い建物があった。
「ここだね!」
オモテが行こうとしたその時、急にジョンが止めた。
「待って、建物の周りに見張りがいるんだ。気をつけて。」
ジョンが辺りを見回して言った。
「思ったより見張りが厳しくないな〜昨日のピースの髪が効いたのかな?裏に回るんだ。いつものようにやってみよう。」
連絡係のジョンは、ラッシュ王と会うときに使う裏口がある。裏口に行くと一人の男が立っていた。ジョンの姿を見つけると、驚いて小声で話した。
「ジョンじゃないか!今は監視が厳しくなってるから気をつけてくれよ。」
「わかってるよ、君とこんなふうにコソコソ話をするのも今日が最後だ。」
この言葉で男は事態を理解した。急いで中にいるラッシュ王へ伝えに行った。少しして戻ってくると伝言を話した。
「ジョン、ラッシュ王は自分達を助ける前に、ピョン王が持っている例の物を取り戻せと言われた。」
「しかしそれまでに何かがおきたら…」
ジョンが言うと男が
「大丈夫、直ぐに王達を傷つけることはない、私達にまかせてくれ。」
ソラと相談し、念のためジョンとウランとラグは残り、ソラとピース、タタミとジュウはピョン王のもとへ二つに分かれて行動することにした。
「ジョン、その前にラッシュ王と話がしたいんだか出来るかい?」
ジョンは男に何とか出来ないか頼んだ。まわりを確認して、男は言った。
「見張りの目を盗んで中へ静かに入るんだ。中には見張りはいない、ただ中が見える窓だけには気をつけて!」
皆を王達のいる中へ静かに案内してくれた。ピースは母に会える喜びでソワソワしていた。
「ピース、うれしのはわかるがまだこれからなんだ気をゆるめないでくれよ。」
ソラが言うと、ピースはうれしそうに答えた。
「わかってるよ!」
うまく中へ入り込み、窓から見える見張りを気にしながら奥の部屋へ行くとラッシュ王とフレグランス妃が座っていた。
「ソラ、よく来てくれた。」
立ち上がってラッシュ王はソラに近づき手を握った。フレグランス妃も立ち上がり嬉しそうに微笑んでいる。
「この時がやってきました。彼がこの国の王子、ピースです。例の赤いビーンズはピース王子が大事にもっています。」
ソラが言うと、ラッシュはしっかりとピースを見つめて言った。
「君の母君も会えるのを楽しみにしておられるぞ。」
「母はどこですか?姿が見えませんが。」
「今はちょと部屋で休んでおられる。君が立派に使命を達成した時に会おうと決めておられるのだ。」
ピースは少しがっかりしうつむいた。
「ピース、ピョン王から青のビーンズと黄金のいぐさを取り戻したら直ぐに伝説を達成させるのだ。呪いが溶け元の平和な王国になるはずだ。」
オモテ達は、驚いた。そんな話は一切聞いていなかった。ピースも同じく驚き自分の置かれている立場を再認識した。
「タタミ王国から来た戦士は君達か。嬉しそうに眺めた。君はオモテ君とウラン君だね。」
オモテとウランは驚いた。
「カオリと同じ年の双子の男の子が生まれたのをターミーから聞いていた。小さかった君達が今では勇敢な戦士となって我々を助けに来てくれた事に感謝しているよ。ジュウ君とラグ君もありがとう、カオリもいい仲間に恵まれうれしいよ。」
ラッシュ王が自分たちの名前を知っていてくれた事がうれしく、とても感激した。
「カオリちゃんも王国で元気に帰りを待っています。精一杯やりますので見ててください!」
オモテとジュウは力強く言った。
「感動の再会というやつ?」
後ろからの声にソラが振り向いた。
「ダルが、皆逃げて帰ったって言ってたのはやっぱり嘘みたいだ。」
いつからいたのかジャックとアニーが入って来たのだ。
「その伝説とやらを見てみたいわ。その赤のビーンズとやらを渡してもらおうかしら。」
アニーがニヤリと笑って言った。
「ここは大丈夫、ピョン王の所へ行きなさい。」
ラッシュ王が大声で言うと、ジョンが剣を抜き、ジャックとアニーにつきつけ、続いてウランとラグも剣を抜いた。
「ソラ、今のうちに」
「わかった、あとは頼んだよジョン!」
ソラはピースとオモテとジュウを連れて外へ見張りに気づかれないように飛び出した。
「ソラ、赤のビーンズとか青のビーンズって何のこと?」
「そうだよ!初めて聞いたよ、何のこと?」
オモテとジュウもソラに問いただした。
「皆を助けてから話そうと思っていたんだが、伝説達成の方が先のようだ。今から説明をするよ。急がなくてはいけない、歩きながら話すよ!」
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